世界的に需要の拡大が続く医薬品「血漿分画製剤」| 武田薬品
血液からつくられる薬ってナンダ?
世界的に需要の拡大が続く医薬品「血漿分画製剤」
血漿分画製剤は、健康な人から提供された血漿から製造される、疾患を持つ患者さんの暮らしに必要な医薬品です。すでに100年以上にわたり治療に用いられており、希少疾患や難病を抱える患者さん、ときにはその症状が長期にわたって続き、他に治療選択肢のない患者さんのために、医薬品へと転換され患者さんの治療をサポートしています。
Q.1 血漿って?
A. 血漿とは、血液中の赤血球、白血球、血小板を除いた、薄黄色の液体成分のことで、血液量の半分以上を占めています。
血漿は、生命の維持にとって重要な血球、タンパク質、抗体、ホルモン、酵素を身体中に運ぶことで、感染症や病気から人体を守っています。
出典…日本赤十字社:血液の基礎知識Q.2 血漿分画製剤って?
A. 血漿中のタンパク質を分離・精製することで作られる医薬品です。
希少疾患や難病の原因となるタンパク質の欠如や不足を補うことができます。生涯を通じた治療を必要とすることが一般的な、血友病や原発性免疫不全もそうした疾患の一例です。また救急救命処置にも使用される治療薬もあるため、その重要性と必要性は国を問わず高くなっています。
しかし血漿中の3,000超のタンパク質のうち、治療に活用されているのはほんの一部に過ぎません。そのため現在は、アルツハイマー病やパーキンソン病、脳卒中といった疾患にも活用の可能性を見出すべく、先駆的な研究が進められています。
1)WHO必須医薬品モデルリストに見る血漿分画製剤の位置付けの歴史的変遷と現状
2)日本血液製剤協会:血液製剤について
Q.3 血漿分画製剤にはどういう特徴があるの?
A. 健康な人から提供いただいた血漿からしか製造できません。
血漿は治療薬として使用され、疾患を持つ患者さんの暮らしに必要であるものの希少かつ人工的に作ることもできません。血漿分画製剤を必要とする患者さんは多くの場合、他に治療選択肢がほとんどないか、ときには全くない患者さんもいます。
さらに、血漿分画製剤の製造は非常に複雑で時間もかかります。一般的な医薬品の製造期間はおよそ3か月ですが、血漿分画製剤の場合、採血から患者さんに届くまでに7~12か月かかります。
Q.4 血漿分画製剤のための血漿はどのように確保しているの?
A. 健康な人から成分献血と全血献血という2つの方法で確保されています。
出典…
1)厚生労働省:献血について知りたい
2)日本赤十字社:献血の種類
Q.5 血漿から医薬品を安全に作れるの?
A. 厳格な基準に従ってドナーと患者さんの両方の安全性を確保しています。
安全対策には献血の頻度に関する規定や、低リスクのドナーからのみ献血を受けるための厳格な資格基準があり、ドナーは病歴や身体面の総合的な審査を受けてから献血に移ることになります。
日本でも、国が厳格な献血基準を設定しています。
タケダの安全性に関する取り組み
タケダでは、血漿の収集方法にかかわらず、各献血のサンプルに対してウイルス感染の有無を確認するテストを実施しています。HIV、A型、B型、C型肝炎、パルボウイルスB19を検出する核酸検査もそのひとつです。製造過程にはウイルスの不活化および除去プロセスを組み込み、患者さんへのさらなる安全性を確保しています。
出典…厚生労働省:献血について知りたいQ.6 希少疾患や難病の治療には、どのくらいの血漿が必要なの?
A. 血漿分画製剤を製造するため、世界全体で年間約6,000万リットルの血漿が使用されています。
Q.7 世界中で血漿分画製剤の需要の拡大が続く背景とは?
A. 治療が可能な疾患の診断レベルが上がっていること、血漿分画製剤を使用できる疾患が増えていることなどが挙げられます。
Q.8 血漿分画製剤への世界的需要に対する供給の課題は?
A. 2024年現在、世界でも6カ国(アメリカ、カナダ、オーストリア、チェコ、ドイツ、ハンガリー)でしか民間の血漿収集ネットワークの運営が許可されておらず、世界で必要とされる血漿の90%近くをこれらの国でまかなっている状態です。
血漿分画製剤の需要が現在のレベルで拡大した場合、この状態は持続可能ではありません。そのため現在は、この緊急性の高いニーズへの認識と支援の輪を広げるために様々な活動が展開されています。