挑戦の先に生まれる新しい価値ってナンダ? | 武田薬品
挑戦の先に生まれる新しい価値ってナンダ?
イノベーションを、あきらめるな。
世界が刻々と変化する今、 イノベーションは社会を支える力となっています。 私たちにとって、それは競争のためのものではなく、 患者さんの未来を支えるための使命です。
タケダにおけるイノベーションとは、 「患者さんを支える新しい価値を生み出すこと」 それは、決して一足飛びに実現できるものではありません。 日々の挑戦と不屈の姿勢の積み重ねこそが、 業界を前進させるイノベーションへとつながると信じています。
不屈の精神が切り開いた、タケダのイノベーション
挑戦の先に生まれる新しい価値とは?
「患者さんに高い品質で安心を届ける」医薬品の無菌製造技術
PROJECT MEMBER
高橋 武
ステライルマニュファクチャリング部
私たちの存在意義を果たすためには、医薬品を途絶えることなく供給することが不可欠です。世界中の患者さんに高品質な医薬品を確実にお届けするために、2024年にタケダの光工場では最先端の製造設備を設置しました。このプロジェクトを成功に導いた高橋さんに、製造設備の特徴である無菌製造技術導入時のエピソードについてうかがいました。
Q. 医薬品を製造するにあたって、無菌製造はなぜ重要なのですか?
【高橋】 医薬品、特に無菌注射剤を製造する現場では、「見えない菌との闘い」が日々続いています。高品質な医薬品を製造するためには、徹底した無菌製造環境を確立しなければなりません。私たちは、全長約80mの製造ラインに新規技術を導入し、より厳密な無菌製造環境を作り出すとともに、製造能力を3倍以上に拡大して、製品供給の安定性を強化しました。
患者さんからの信頼に真摯に応えるために、私たちには常に高い品質基準を維持し、万全な体制で製品を届ける使命があります。これこそが、タケダのものづくりの原点であり、変わることのない価値観です。
Q. この取り組みをやり遂げる原動力となった想いは何でしたか?
【高橋】 「一日でも早く患者さんに薬を届けたい」という強い想いです。新型コロナウイルス感染症が世界的に猛威を振るっていた時期であったため、物資調達や技術者の確保が大きな壁となりました。特に、製造ラインを構成する海外製造設備の据付にあたり、海外ベンダーの技術者が入国できなくなるという未曾有の事態に直面しました。しかし、現場とタケダ海外拠点の従業員、海外ベンダーが遠隔地からリアルタイムで連携するリモートワーク体制を迅速に構築し、現地従業員が据付や調整を進めたことで、スケジュールの遅延を出すことなく取組を遂行できました。パンデミックの最中に、生産効率と品質安定性を向上させる革新的な生産体制を構築できたという経験により、チームの結束や誇りがより一層強まったと感じています。
無菌製造技術の導入により、人の介在が最小化され、製造プロセス中のヒューマンエラーが減少しました。これにより、現場従業員の品質や安全性への意識が高まり、改善活動やコミュニケーションが活発化。チームワークが強化されたことで、問題発生時の対応が迅速になり、品質と安全性の向上につながりました。これらの取り組みは患者さんに安全で安心できる医薬品を常に提供するタケダの使命の実現に貢献しています。
Q. 今後、この技術をどのように発展させていきたいですか。
【高橋】 最新の無菌製造技術を今後さらに拡大させたいと考えています。これまで導入してきたアイソレータ(密閉型無菌操作システム)、自動製造設備、リアルタイム品質管理(IPC)を基盤に、AIやIoT、ビッグデータなどのデジタル技術との連携を一層強化していきます。
また、こうした革新的な生産体制を世界の拠点に展開し、どの地域の患者さんにも高品質な医薬品を迅速にお届けすることを目指しています。タケダのグローバルネットワークを活かし、DXと技術革新を通じて、患者さんにより安心と信頼を提供できるよう挑戦を続けていきます。
「ひとりでも多くの方に貢献」数十人の希少疾患患者さんのために生まれた医薬品
PROJECT MEMBER
川口 昌彦(画像左)
ストラテジー&ビジネスオペレーションズ
久我 敦(画像右)
血漿分画製剤開発戦略ユニット
日本にわずか数十人の患者さんしかいない希少疾患の新たな医薬品の開発に情熱を注いだ開発チームに、開発のストーリーを聞きました。
Q. この希少疾患のための治療薬を開発する中で、特に苦労した点を教えてください。
【久我】 海外で先行して承認を得ていたこの治療薬を、日本でも開発することが私たちの目標でした。しかし、国際共同試験のデータを日本での申請パッケージにどのように位置づけるかについて多くの準備が必要でした。さまざまな論点がありましたが、日本とグローバルのチームの一人ひとりが専門性を最大限に発揮しながら垣根なく前向きにアイデアを出しあい、複数回の折衝を経て大変な局面を乗り越えることができました。今でも忘れられない思い出のひとつです。
Q. この医薬品の開発を通じてチーム全員が大切にしてきた信念について教えてください。
【久我】 治験のデータから「この薬で患者さんのQOLを変えられる」とチーム全員が確信していました。だからこそ「我々の使命は患者さんに最速で薬を届けることだ」という信念をもって、努力を続けることができました。
【川口】 実は、日本で治験に参加していたある患者さんが、ご家族の海外転勤が決まり、ご家族と離れ日本で治験を継続するか、治験継続をあきらめてご家族と一緒に海外に移り住むか悩んでおられました。国内の引っ越しでも医療機関が変わることによりデータに影響する場合も考えられるため治験継続が困難になることがあります。しかし、患者さんからの「私にとってこの薬は希望の光なので治験をぜひ継続したい」という声に応え、関係者と調整を重ね、海外移住先での治験の継続が実現しました。その後、患者さんから喜びのお手紙をいただき、とても嬉しかったですね。
【久我】 さまざまな困難な場面もありましたが、この医薬品の開発をあきらめる人はチームに一人もいませんでした。不可能と思われる状況でも、可能にするための方法を粘り強く考えてくれたメンバーに感謝します。今後もお互いの信頼関係を深めて、さらに大きな成功を目指したいです。
日本にまだない医薬品を「少しでも早く患者さんのもとへ」
PROJECT MEMBER
田之頭 淳一(画像左)
日本開発センター 臨床開発部
久保 和也(画像右)
日本開発センター 領域戦略ユニット(消化器・炎症性疾患)
症状が激しく夜も眠れない希少疾患の患者さんがいます。海外では薬が使用できる一方、日本では未承認で使用できなかったこの薬を、必要な患者さんにお届けするためにタケダが開発に名乗りをあげました。希少疾患の患者さんの治験組み入れには数年かかることもあります。「患者さんに少しでも早く薬をお届けするために」わずか数か月で患者さんの治験組み入れを完了することができました。この革新的な治験組み入れについて、詳しく聞きました。
Q. 数年かかることもある希少疾患の治験の組み入れを、わずか数か月で実現されたとのこと。そこにはどのようなイノベーションがあったのでしょうか。
【田之頭】 タケダの医薬品開発では、従来から病院や医療機関、研究機関、治験サポート機関等との外部連携ノウハウを有しています。さらに、近年の医薬品開発においては、データベースの活用や疾患レジストリとの協働が注目されている状況でした。今回の取り組みは、従来の外部連携ノウハウと疾患レジストリとの協働を組み合わせるという前例のないものでした。この2つが合わさることで具体的なアイデアが生まれ、新しい治験の組み入れ方法に繋がったと考えています。
Q. どのような想いや使命感をもって開発に取り組んだのでしょうか。
【田之頭】 私たちプロジェクトチームは、患者会の活動で公開されている写真をたびたび見返しています。写真からは患者さんが症状に苦しむ様子やご家族のご苦労が伝わってきて、「自分たちが開発を進める薬で何とかできないか」という使命感を持つようになりました。
【久保】 「希少疾患の領域に光を当ててくれてありがとう」といった先生方の声をはじめ、治験責任医師や医療現場から多くの期待の声が寄せられ、なんとかしたいという想いで開発に取り組んでいました。
Q. 今回の革新を可能にした背景には、どのような組織風土やチームの姿勢があったのでしょうか。
【久保】 何が患者さんにとって一番良いか、どうすれば薬の価値を最大限に活かせるかを常に考える、患者さんに貢献したいという強い想いがチーム全体に浸透していました。国内外の従業員やパートナー企業が各々の考え方を真摯に受け止めながら協議し、すべての関係者が同じ目標に向かって取り組む姿勢が共通していたと思います。
Q. この医薬品を利用している患者さんやご家族からの声は届いていますか。
【久保】 担当医師を通じて、患者さんから前向きなお声をいただいています。医療関係者や患者さん、ご家族、そして研究機関や企業が一体となって取り組んだ結果だと実感しています。このような取り組みが繰り返されることで、希少疾患に対する医薬品の開発活動がより盛んになることを願っています。
製造現場のDXで45万リットル以上の蒸留水を削減
PROJECT MEMBER
神田 貴仁(画像左)
製造部門
ノア・ハインヅ(画像中央)
GMSジャパン データサイエンスグループ
川田 真義(画像右)
大阪工場エンジニアリング室
「困る仲間の姿を何度も目にし、なんとかしたいという意識が日に日に強くなっていました。私たちの医薬品を待っている患者さんのためにも。」
タケダ大阪工場では、蒸留水不足により製造の待機時間が発生することがしばしばあり、蒸留水精製設備を追加設置するための設備投資が検討されていました。しかし、DX推進の担当者は「デジタルを活用した解決方法があるはず」と諦めませんでした。蒸留水使用のデータを集めるために、データサイエンティストやエンジニアリング室と連携して新規センサーを導入。現状をデータで可視化し、装置稼働を調整することで、追加の設備投資なく、年間45万リットル以上の蒸留水(水道水量として200万リットル以上)と都市ガス7900立方メートル以上の削減を実現。DX成功の鍵は、現場での気づきと部門を超えた連携にありました。
「より早く、より安全に」iPS細胞が支える新しい医薬品安全性評価の技術
PROJECT MEMBER
篠澤 忠紘
リサーチ&デベロップメント
「最先端の技術を活用し、新しい研究成果を生み出すのは苦労の連続ですが、患者さんのために少しでも早く薬を届けたいという想いを胸に、研究に励んでいます。」
タケダは新薬候補物質の安全性評価にiPS心筋細胞を使って、独自の評価方法を構築しました。薬が実際の心筋細胞に与える影響を、より正確に予測できるようになりました。 革新的な医薬品を迅速に世界中にお届けしたいという想いから、この新技術を世界に公開。多くの困難を乗り越える原動力となったのは、社内外の仲間との「共創」です。AIやデジタル技術と組み合わせ、少しでも早く患者さんに新薬を届けられるように研究を進めています。