地域コミュニティから消化器系疾患医療のアクセスを広げる | 武田薬品
地域コミュニティから消化器系疾患医療のアクセスを広げる
本記事は、実際の患者さんの体験談を紹介しています。特定の患者さんの体験を紹介したものであり、典型的な患者さんの体験を紹介するものではありません。気になる症状や医学的な懸念がある場合、また、適切な診断と治療を受けるためには医療機関を受診ください。
ケイサ・マンスフィールドさん、MPA、Women of Wellnessイニシアチブ共同リーダー
これらのフォーカスグループで消化器系疾患の問題を話すのは、珍しいことではありません。米国では、黒人女性は過敏性腸症候群(IBS)など特定の消化器系疾患に罹患する割合が多いという研究結果が出ています*1 2。さらに、ヘルステクノロジー企業および公益法人のSurgo Healthが提供した地域レベルのデータおよび社会行動データから、オールバニの地域では、プライマリケアへのアクセス不足、低い健康リテラシー、低い健康保険加入率などが広範に見られる要因であり、これが健康状態の悪化につながることが分かりました。この状況は、人々の意識を高め、必要な医療を受けられるようにするためのさらなる介入が必要であることを強く示しています。
「認識し、明確に求め、進んでいく」
健康格差と消化器系疾患ケアへの障壁に取り組むことが、ジョージア消化器系医療プログラムの目標です。このプログラムでは、コミュニティのパートナーと協力し、一般的な消化器系疾患であるIBSと炎症性腸疾患(IBD)**に関する情報を、コミュニティ・ヘルス・ワーカーに提供しています。このプログラムは、全米Faith Health Allianceに属するマウント・シオン・バプテスト教会をはじめ、オールバニ教会連合やコミュニティ・ヘルス・ワーカー育成プログラム「Women of Wellness(WOW!)」など、信仰を基盤とするさまざまな組織やステークホルダーで構成されています。タケダは、ジョージア腸管健康プログラムのスポンサーを務めています。
ウルスラ・マティス・デニスさん、MBA、MSN、Women of Wellnessイニシアチブ共同リーダー
オールバニ在住の医療分野専門家であり、マウント・シオン教会の一員でもあるウルスラ・マティス・デニスさんは、ケイサさんと一緒にWOW!の取り組みを主導しています。このプログラムの基本原則は「認識し、明確に求め、進んでいく」ことだとウルスラさんは述べています。
「私たちの主な目的は、疾患に関連する症状を認識し、自身に必要な治療を明確に求めるにはどうすればよいかを女性たちに伝えていくことです」とウルスラさんは述べています。「私たちは、女性が信頼できるネットワークを利用し、受ける権利のある治療を実際に受けられるように支援しています。」
信頼こそが鍵
信頼は、地域社会の医療・健康に関する取り組みで欠かせない概念です。また、オールバニには平等を求めて闘ってきた歴史があり、信仰を基盤とする組織が信頼されることが少なくありません。1961年には、マーティン・ルーサー・キング・ジュニアがオールバニのオールド・マウント・シオン教会で1,500人の聴衆を前に演説し、公民権を勝ち得るには人種差別の撤廃と人々の団結が重要と説きました。
ダニエル・シモンズ博士、マウント・シオン・バプテスト教会シニア牧師
マウント・シオン・バプテスト教会は、1922年からオールバニとその周辺地域のために活動してきました。そして近年、ダニエル・シモンズ博士のリーダーシップのもと、教会活動の一環としてFaith Health Allianceに加盟しました。
「牧師にはさまざまな使命がありますが、私にとって医療は大きな使命です」とシモンズ博士は述べています。「私は牧師として5,000人を超える信徒に奉仕し、医療が生活の質や命にもたらす変化を目の当たりにしてきました。情報が少なかったことで、医療を受けられなかった人を見てきました。私自身も、その一人でした」
地域社会主導の支援活動
消化器系疾患の健康問題の対応方法を学ぶWomen of Wellness
「私たちの目的は、疾患に関連する症状を認識し、必要な治療を明確に求めるにはどうすればよいかを女性たちに伝えていくことです。私たちは、女性が信頼できるネットワークを利用し、受ける権利のある治療を実際に受けられるように支援しています。」
ウルスラ・マティス・デニスさん、MBA、MSN Women of Wellnessイニシアチブ共同リーダー
ジョージア消化器系医療プログラムのリーダーたちはまず、地域社会のニーズをより深く理解したいと考えています。そこで同プログラムは現在、40以上の地域の教会を通じてアンケート調査を実施しています。各教会は女性信徒を対象に調査を行い、消化器系の健康問題に関する具体的なニーズを特定します。例えば、健康的な食品へのニーズの有無もその一つです。調査結果は、各地域の支援活動を決めるのに役立ちます。さらに、WOW!のメンバーが消化器系の健康問題を伝えるとともに、健康状態の改善に役立つリソースの情報も共有します。
成功のモデル
私たちはこれまで、世界各地で各種支援活動を行ってきました。支援活動を通じて、コミュニティ・ヘルス・ワーカーが、地域社会と医療リソースをつなげてきた成功例を目にしてきました。U.S. コミュニティヘルス バイスプレジデントのクリス・レディック博士とそのチームは、ジョージア消化器系医療プログラムが具体的な成果を残すことを心待ちにしています。
「私たちは、コミュニティ・ヘルス・ワーカー・モデルへの支援を強化しています。地域を最もよく知る人々が、健康格差を改善するニーズや必要なリソースを特定できるよう支援しています」と博士は述べています。「このような地域社会主導型モデルは、患者さんのために人々と連携し、イノベーションを推進してきたタケダの伝統に根差したものです。このモデルの成功が、他の疾患領域や米国の他の地域へと広がっていくことを期待しています」
さまざまなアプローチが必要との意見に、ウルスラさんも賛成しています。
「私たちは、健康の公平性を目指すモデルを超え、地域社会をエンパワーするモデルへと進化しています。私たちは、個別対応の視点から、総合的な変革を生み出すとそうとしているのです」とウルスラさんは言います。
* 過敏性腸症候群(IBS)は機能性消化管障害に分類され、腸機能に何らかの障害がある状態を指します。
** 炎症性腸疾患とは、消化管に慢性的な炎症を引き起こす疾患の総称です。炎症性腸疾患の最も一般的な病型は、クローン病と潰瘍性大腸炎です。
- Singh, M. E., James, S. P., Germino, G. G., & Rodgers, G. P. (2022). Achieving Health Equity Through Digestive Diseases Research and Scientific Workforce Diversity. Gastroenterology, 162(6), 1597–1601.e1. https://doi.org/10.1053/j.gastro.2022.01.005
- Unalp-Arida, A., & Ruhl, C. E. (2023). The Burden of Digestive Diseases in the United States Population. medRxiv : the preprint server for health sciences, 2023.08.16.23294166. https://doi.org/10.1101/2023.08.16.23294166
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