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アートの力で職場が一つになる時 | 武田薬品

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アートの力で職場が一つになる時

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2025年6月12日

ミネソタ州ブルックリンパークにあるタケダの工場では、ある従業員が画材を失くしたことをきっかけに、職場の団結を深めるプロジェクトが誕生しました。

自分の持ち物をいつもと違う場所に置くと、その存在を忘れてしまうことがあります。例えば、手袋や水筒、傘などを忘れがちです。しかし、この工場に勤めるジェニナ・ボスコビッチの場合、仕事場で自分の画材を失くしたことが、忘れがたい出来事となりました。

無数の小さな点で絵を描く「点刻」で制作したジェニナの自画像

無数の小さな点で絵を描く「点刻」で制作したジェニナの自画像

ジェニナの仕事は医薬品の製造に関わるもので、高度な技術力が要求されます。夜勤シフトで働くジェニナは、仕事の休憩中にアート制作に取り組むのを楽しみにしていました。彼女はいつも、油絵具やブラシ、スケッチブックなどを詰め込んだバッグを製造フロアから離れた所にある会議室のキャビネットに保管していました。 しかし、ある日の夕方、出勤したジェニナはその会議室の扉に「工事中」という表示があることに気づきました。

「バッグを失ったと思い、気持ちが一気に沈みました」とジェニナは振り返ります。「バッグの中には画材だけでなく、何時間もかけて描いた自画像も入っていました」

ジェニナは、無数の小さな点で絵を描く「点刻」という技法で自画像を制作していました。手間暇かけてつくったのに、二度と自分の作品を見ることができないとジェニナは落ち込んでいました。

予期せぬ幸運な出会い


ブルックリンパーク工場製造部門のヘッドを務めるジョー・ミカルスキー

ブルックリンパーク工場製造部門のヘッドを務めるジョー・ミカルスキー

ブルックリンパークの工場で製造部門のヘッドを務めるジョー・ミカルスキーにとって、それはいつもの一日でした。ジョーはその日、工事に備えて会議室を整理していた同僚から画材の入ったバッグを渡され、処分すべきかどうかを聞かれました。

「画材やブラシ、油絵具、スケッチなどが入っているし、このバッグは大切なものだろう」とジョーは考えました。

自身もアートに親しんでいたこともあり、ジョーはバッグの持ち主を探してみると答えました。彼はすぐに、このバッグはジェニナのものだと気がつきました。ジェニナの自画像が入っていたからです。

製造部門のヘッドを務めるジョーは、従業員と積極的に関わり、誰もが気軽に意見を伝えられる職場づくりに努めていました。ジェニナのことも、少し前に開催したリーダー・スタッフ間の対話促進の場を通じて知っていました。

ブルックリンパーク工場製造部門職員のジェニナ・ボスコビッチ

ブルックリンパーク工場製造部門職員のジェニナ・ボスコビッチ

ジョーはジェニナに声をかけ、バッグを差し出しました。

ジェニナは大喜びでジョーに感謝を述べ、二人はそのままアートの話に花を咲かせました。こうした会話は、バッグの紛失がなければ起きなかったでしょう。

「ジョーの仕事以外の側面を知りました。私の作品に興味を示してくれたのも、とても嬉しいことでした」とジェニナは言います。

このちょっとした意思表示が、新たな関係性のきっかけとなり、工場全体の団結に発展していきました。

創造性のつながり


それから数日が経ち、ジェニナはジョーとの会話を思い出していたとき、突然ひらめきました。慈善活動の一環としてアート作品をオークションで販売していたジェニナは、「タケダのために何か制作するのはどうだろう」と思い立ったのです。そこで、ジョーに提案してみようと思いました。

しかし、その提案メールをまだ送らないうちに、再び偶然が起きました。ある日、ジョーが早めに出勤すると、ジェニナの夜勤の退勤時間と重なったのです。そこでジェニナは自分のアイディアを話してみました。

この工場のエッセンスを物語るようなモザイクアートを作ってみたいと話したのです。「私たちの関係性と絆の力を示すような作品」とジェニナは説明しました。それは、自分らしさを表現した写真を従業員から集め、一つのモザイク作品に仕上げようというものでした。ジョーも、そのアイディアに賛成しました。

除幕式で完成品にサインを入れるジェニナ

除幕式で完成品にサインを入れるジェニナ

この制作活動は、大きなプロジェクトになりました。この作品には少なくとも2,000枚の写真が必要で、できるだけ多くの従業員に参加してほしいとジェニナは考えていたからです。ジェニナは数カ月にわたり、通常の業務を続けつつ、40時間かけて作品を完成させました。制作時間に対して手当も支払われました。また完成したモザイクアートを披露するため、除幕式も開催されました。作品は、工場の玄関に飾られています。

「みんなが一つになる、素晴らしいプロジェクトになりました。誰もがこの作品の中に、自分の姿を見つけたいと思いますから」とジェニナは言います。「これは、人々の集いを表現する作品です」

このプロジェクトを知ったトーマス・ウォスニフスキー グローバル マニュファクチャリング&サプライ オフィサーは次のように述べました。「このプロジェクトは、人を中心とする私たちのアプローチの好例です。患者さんのために医薬品を製造すること、そして世界中の拠点でともに働く仲間のために前向きな文化をつくることが、私たちの使命ですから」

「この作品は、人々の結束とは何か、そして小さな偶然から多くの人を祝福するアートを生み出せるということを示しています。タケダのリーダーが、このプロジェクトを工場結束の一つとして評価してくれたのは、本当に意味のあることだと思います」 ジェニナ・ボスコビッチ(製造担当)

一瞬の集まりが大きなインパクトへ


ジェニナとジョーの間に起きた偶然によって、ブルックリンパーク工場を一つにするアート作品が生まれました。

自身の作品の前で母親と写真に写るジェニナ

自身の作品の前で母親と写真に写るジェニナ

ジェニナは次のように述べています。「この作品は、人々の結束とは何か、そして小さな偶然から多くの人を祝福するアートを生み出せるということを示しています。タケダのリーダーが、このプロジェクトを工場結束の一つとして評価してくれたのは、本当に意味のあることだと思います」

ジョーは次のように付け加えました。「タケダは、これまでの歴史を大切にし、私たちの価値観をあらゆる取り組みに反映させています。このアート作品は、革新性に挑む私たちの精神そのものであり、創造力が私たちを一つにつなげることを示しています。暮らしを豊かにするのは、私たちがつくる医薬品だけではありません。私たちが育んでいる職場環境も、暮らしを豊かにする重要な要素です」

ジェニナは次のように述べました。「大切なのはアイディアを追い求め続けることです。胸の高鳴る方へと進み、自分のアイディアに共感し、支えてくれる仲間を見つけましょう。そうすれば何か新しいことが起こるかもしれません」

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