SNS活用で悩みを抱える女性を支援 | 武田薬品
SNS活用で悩みを抱える女性を支援
AIの隆盛など暮らしを豊かにするテクノロジーが進化する反面、長引くコロナ禍の影響などで孤独・孤立の問題が深刻さを増しています。このような状況を改善すべく、孤独・孤立対策推進法が成立し、2024年4月に施行されました。
タケダでは、2021年より認定特定非営利活動法人日本NPOセンターとのパートナーシップを通じて、生きづらさを抱える女性たちとその子どもたちを支援するパーソナル支援団体を対象とした助成プログラム「タケダ・女性のライフサポート助成プログラム」(以下、本プログラム)を展開しており、助成金の拠出に加えて、支援団体の課題解決のサポートも実施しています。
なぜ今、生きづらさを抱え孤独・孤立を深める人がいるのか*。社会をどのように変えていくべきなのか。根強く残る課題と支援活動の展望について、SNS相談事業を通じて女性たちが抱える苦悩と向き合っている、特定非営利活動法人ダイバーシティ工房の佐藤佑紀さん、松村ひかりさんにお話を伺いました。
社会の変化を促す法律施行の意義
さらに、自身の苦しい状況を周囲に知られたくない、という「恥の意識」が作用して助けを求める声があげづらくなることもある、と佐藤さんは付け加えます。
「心理的なハードルが高くなる要因の一つは、相談できる人が身近にいないことです。昔は、親や学校の先生、近所の方などが地域の中で顔の見える相談相手として機能していましたが、現在は昔のように機能しているとは言えません。インターネットの普及でさまざまな生きづらさが可視化されるようになりましたが、信頼して相談できる存在がいない。それが孤独・孤立の根底にあると考えています」
女性に限らず、孤独・孤立の状況改善には時間をかける必要があるため、多様な人々が支える必要があることを法律によって明文化された意義は大きい、とお二人は話します。
まずは相談しやすい場をつくる
「生きづらさを抱える人々がコンタクトしやすい環境をつくることが重要」と佐藤さんは話します。
「残念ながら、適切な制度やサービスの情報が支援を求める方に届いているとは言えません。一方で、『恥の意識』を考慮すると、相談者にとって知られたくない・話したくないと思っているタイミングで支援者が踏み込んでしまうと関係性が途切れてしまうこともあります。踏み込み方が難しいテーマなので、相談者自身が自分の意思で気軽に話せるスペースとしてLINEを選択しました」
「むすびめ」の活動で印象深いエピソードとして、松村さんは、ある若い女性とのやりとりを振り返ります。
「彼女は、自身の悩みを周囲の人に話すことを勧めても、頑なに拒んでいました。ある日、彼女の友人が助けを求めていると相談を受け、その話を親身になって聞くなかで、改めて彼女自身も支えたいと伝えると、生きづらさの要因などを少しずつ話してくれるようになりました」
LINEを介した言葉だけのやりとりでも、共に悩み、共に考えることで気持ちが通じ合う嬉しい出来事だったと語ります。
支援活動の幅を広げる企業の関わり方とは
ダイバーシティ工房の松村ひかりさん(左)、佐藤佑紀さん(右)
NPOのスタッフを無給のボランティアとされる誤解が、未だにあると佐藤さんは話します。地域や行政に対し、団体が自分たちの活動を丁寧に説明していくにも限界があるため、支援企業が社会課題や団体の活動内容を発信することで、理解されやすい環境ができると言います。
「生きづらさを抱える人々はもちろん、それをサポートする団体の活動にも社会の理解が必要です。生き方、考え方、取り組み方は多種多様なので、ちがいを認め合い、許容し合うことで暮らしやすい社会になると考えています」
また企業が、活動資金の助成だけではなく、共に女性支援の在り方を考えてくれるパートナーとなってくれることの重要性を松村さんは強調します。
「私たちは、日本NPOセンターさんを通じて武田薬品さんの支援を受けることができました。しかし、それは単なる資金提供ではなく、私たちのアイデアにプラスαの価値を提供いただくものでした。活動報告の際に適切なアドバイスをいただいたこと。そして他団体との接点を設けていただき、今後の活動で協働する関係をつくることができたのは、私たちにとって大きな力となりました」
タケダは、2世紀以上にわたり形作られてきた価値観に基づき、さまざまな団体を支援してきました。タケダが行う支援活動はすべて、短期的な資金援助ではなく、長期的な視野で暮らしの基盤づくりを支え、ともに支え合う社会を目指すものです。今後もこうした価値観を受け継ぎ、本プログラムを通じて生きづらさを抱える人々の心身の健康に貢献する支援団体のサポートを続けていきます。
関連ストーリー
東日本大震災復興支援、10年の軌跡と学び