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代表取締役社長からのメッセージ | タケダ2025年統合報告書

Lab workers

代表取締役社長からのメッセージ

ステークホルダーの皆さまへ

当社の2025年統合報告書が完成いたしました。2024年度は堅調な業績を達成したほか、パイプラインも着実に進展した年度となり、タケダの成長見通しへの自信を新たにしました。

Christophe Weber

私たちを取り巻く事業環境は、ますます複雑で厳しいものになりつつあります。地政学的な情勢や規制の変化に加え、テクノロジーの進化、数多くの国が直面する医療費抑制は、製薬業界に影響を及ぼす外部要因の一部に過ぎません。こうした状況を踏まえ、私たちは引き続き警戒を怠ることなく、持続可能な事業の成長を推進し、社会に価値を提供する戦略の実践に努めています。

私たちは、毎年、統合報告書を通じてこれらの戦略を包括的に皆さまにご説明しています。長期的な価値創造に向けた私たちの取り組みは、すべての患者さん、ともに働く仲間、いのちを育む地球、そして株主の皆さまに寄与するという私たちの企業理念に基づいています。また私たちは240年以上にわたり、価値観を道しるべとして成功を収めてきました。本報告書では、その価値観に基づく取り組みの数々をお伝えします。

私たちは「1.患者さんに寄り添い(Patient) 2.人々と信頼関係を築き(Trust) 3.社会的評価を向上させ(Reputation)4.事業を発展させる(Business)」(PTRB)という、タケダの価値観に基づき意思決定を行うことを日々の行動指針とし、組織全体で効率性、成長や逆境に負けないしなやかな強さを高めることに努めています。この行動指針は、私たちの意思決定が常に患者さんを最優先とし、社会と信頼関係を築き、社会的評価を高め、持続可能な事業を推進することを担保するものです。加えて、この行動指針は私たちが研究初期の段階から患者さんのお手元まで、迅速かつ安全にお届けする上で重要な役割を果たしています。多様な従業員や幅広いステークホルダーの声を反映した意思決定を行うことで、この行動指針はより強固なものとなっています。

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2024年度は成長製品・新製品のポートフォリオを前進させるとともに、効率性を高めながらさらなるイノベーションに注力したことで、事業の力強い勢いを実現しました。この製品ポートフォリオの中で、ENTYVIO®(国内製品名:エンタイビオ®)(一般名:ベドリズマブ)、FRUZAQLA®(国内製品名:フリュザクラ®)(一般名:フルキンチニブ)、免疫グロブリン製剤が主要な成長ドライバーに位置づけられます。これらの製品はいずれも2024年度に力強く伸長しました。米国でのENTYVIO®皮下注射製剤の上市は、競争環境の激しい市場にあって10年以上にわたり独自のブランド価値を築いているENTYVIO®の需要を高めました。オンコロジー領域のポートフォリオでは、FRUZAQLA®が20カ国以上で販売もしくは承認を果たしたほか、免疫グロブリン製剤も、依然として世界的に需要が高く、製造能力の拡大により安定的な供給を続けています。

後期開発段階のパイプラインは、自社発の創薬研究と革新的なパートナーシップや買収を組み合わせた研究開発戦略によって勢いを増し、長期的な価値創造に向けた新たな基盤を築きつつあります。後期開発段階にある複数のプログラムは進展を続けており、2025年度から2026年度にかけて3件の承認申請を行う予定です。2027年度から2029年度には、さらに5件の適応症の承認申請を計画しており、革新的な医薬品を患者さんにお届けする可能性を明示しています。

一方で、後期開発段階にあるパイプラインの開発には多額の投資を必要とします。そのため、ポートフォリオの優先順位付けを厳格に行い、資源配分とプロセスの効率化に努めることで、投資額の増加に注力してきました。

また、複数年にわたる効率化プログラムは2024年度においては計画通りに進捗し研究開発、データ・デジタル&テクノロジー、そして新製品販売の為の支出増とのバランスを図りつつ、Core営業利益率を30%台前半から半ばにまで回復させるという目標の達成に向けて貢献しました。

こうした効率性や生産性向上に向けた取り組みを推進する上では、データ・デジタル&テクノロジー(DD&T)への継続的な注力は欠かせません。タケダでは、研究開発、製造、営業活動を含むバリューチェーン全体においてデータ・デジタル&テクノロジーを活用しています。例えば、臨床試験計画の最適化、品質管理、製造プロセスの効率化のほか、個々の医療従事者のニーズを分析し、それに応じた情報提供など、さまざまな面で改善を図っています。加えて、従業員のスキル開発や組織が未来に備える基盤強化にも役立っています。

2025年1月にお知らせした通り、私は2026年6月にタケダの代表取締役社長CEOを退任します。数年間にわたる徹底した後継者計画プロセスを経て、取締役会は全会一致で、現在U.S.ビジネスユニットのプレジデントを務めるジュリー・キムが2026年以降のタケダを率いることを決議しました。ジュリーとはこの過去6年間、緊密に仕事をしてきましたが、彼女以上にCEOを務めるのにふさわしいリーダーはいないでしょう。ジュリーは、2026年の下半期以降に見込まれる新製品上市の可能性を最大限高めるために求められる経験や能力、そして推進力を十分に備えています。すべての患者さん、ともに働く仲間、そしてタケダの価値観と存在意義(パーパス)に対する彼女の揺るぎない献身は、タケダを長期的な成功へと導くものと、私は信じて疑いません。タケダが競争力のあるグローバルな研究開発型バイオ医薬品企業へと変革を遂げたことを私は誇りに思います。そしてタケダは、今後数十年にわたり、患者さん、また社会や株主の皆さまに貢献できる持続可能な事業戦略を有しているものと確信しています。

クリストフ・ウェバー 代表取締役社長CEO CEO signature

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